東洋医学について

東洋医学とは

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東洋医学とは古代中国の「天神合一説」「陰陽五行論」などの哲学を基礎に生まれた医学で、二千年以上たった今でも広く行われている医学です。
特徴としては全ての病の原因を五臓(六臓)の変調と考え、それに気血水の不足や滞り、寒熱などの影響等があって病を発症すると考えています。
「肝虚症」「脾虚症」等と言った言葉で表しますが、「肝虚症」だからと言って肝臓病と言う訳ではありません。

以下に簡単ではありますが東洋医学で考える五臓(六臓)を説明したいと思います。

肝と肝虚

肝(肝臓)の働きをどのように捉えているかと言いますと「肝は血(け つ)を蔵し、血は魂を舎す。」とあります。肝は、夜になると血液を集 め、朝になると必要に応じて血液を分配し、体中に巡らせます。血液中 に充分なエネルギーがあってこそ、積極的に活動することができる訳で す。また、その積極さを意味しているのが「魂」ということになります。 また、肝は、目、筋、爪を支配していると考えられています。また、肝 の志は、「怒」とあります。
例えば、仕事をとても積極的にこなし、きちんと終わらせないと気が済まない。

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そうしないとイライラして仕方がない、という人は体質的に肝虚になり易く、また、それだけに血液中のエネルギーを消耗し易いといえます。肝虚の状態がすすむと手足や肩、背中、腰の筋肉が凝ったり痛んだりします。また、些細なことでイライラし怒ってしまったりします。夜になっても、血液を肝に充分戻せないので体をあまり休ませる事ができず早起きが苦手になります。睡眠中でも、よく夢を見て熟睡出来ません。そうしているうちに、頭痛、眩暈、動悸、便秘、高血圧などの症状が出てきやすくなります。最近ではPCの普及、ゲームのやり過ぎなど目に負担をかけることが多くなったせいか、肝虛症の人が多くなったような気がします。姿勢の悪さも手伝って肩凝りや腰痛になり易いので気を付けてください。また、子宮も筋肉が多いせいか、婦人科疾患も肝虛症の人が多いのです。特に、体質的に肝虚タイプの人は血液中のエネルギーを消耗しきっても、さらに頑張ろうとする傾向がありますので要注意です。

心と心包

「心と心包」ですが、「心包」などという聞き馴れない言葉が出てきま した。解剖学上は心包というものは、存在しません。心包については、 いろいろな説がありますが、東洋医学の基礎と言われている「黄帝内経」 という書物が書かれたのが 今から二千年位前(年代については諸説あ る)とされています。昔の中国では、君主は政治能力ではなく「徳」と いうものが何よりも求められていました。三国志の劉備玄徳の人物像を 思い浮かべて下さい。帝に徳さえあれば、天変地異も疫病の流行もない、 政治や経済などの実務は、他に優秀な人に任せればいい、

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といった考えでした。「黄帝内経」にも「心は君主の官」とあり心は一番大切なものだから「陽気」だけあれば何もする必要はない、ということなのでしょうか。君主に「徳」がなければ国は滅びます(そう、信じられていた)。人間にとって一番大切な「心」もその存在がとても尊いから(心の陽気が無くなると死んでしまう)実務は心包に任せようという事なのかも知れません。そのせいか、心包の陽気の一番集まるところを「だん中」と言いますが、「だん中」は「臣使の官」と書かれています。君主に変わり、心包が臣使として働いていると解釈できます。そして、心の陽気を「君火」と言い、心包の陽気を「相火」と言います。
 心の状態は舌に現れやすく、舌が赤ければ、心の熱が多くなっていると考えます。また、顔面が赤く光沢がありすぎたりします。顔面が赤く光沢があれば健康そうにも見えますが、腎の陰気と心包の陽気(相火)がうまく交流できていないからだと東洋医学では考えます。そして、さらに、動悸や心痛を訴えるようになります。通常はそうならないよう腎の陰気と交わりバランスをとっています。

脾と脾虚

脾というと脾臓の事と思われるかもしれません。現代でいう脾臓は肝臓 の補助的役割などをしている器官ですが、東洋医学でいう脾とは、その 役割から言って膵臓のことだろうと思われています。
「黄帝内経」によると、脾は、営を蔵し 営は意を蔵す。脾は肌肉、口、 唇、四肢を支配する。などと書かれています。
一体何の事だかさっぱり解りませんよね。おおよそ、飲食した物から人 体に必要な気血津液を生成し各臓腑に気血津液を送るというような意味 のようです。

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 消化という作業は単に食べた物を溶かすということだけではありません。
脾は、飲食物から気血津液を作り各臓腑に送り、いわば、各臓腑の面倒を見てあげているような 役割を担っています。そのせいか、脾虚になり易いタイプのひとは、普段はとても気が利いて、面倒見の良い人が多いのです。ただ、脾虚の状態が進行すると、ただのおせっかいと思われ、人から感謝されるどころか、敬遠されるようになってしまう可能性があるので気を付けましょう。
 脾虚体質の人の特徴として、肌肉に張りがなくブヨブヨしていたり唇がすごく薄いか厚いといったことがあります。四肢の支配というのは、四肢に力が入りづらい、といった意味です。消化器系の症状、口内炎、等の症状が起きやすいので要注意です。

肺と肺虚

肺は、全身に気を巡らす働きがあり、肺の精気である魄がその原動力と なっています。そして、心包のところで述べた相火も肺の気の力を借り て全身を巡ります。また、肺は、皮毛を主り腠理(平たく言うと毛穴、 汗腺のようなもの)を開閉し外界の温度 湿度の変化から身体を守って くれます。体毛も肺の支配です。生まれつき肺や皮膚の弱い人は皮膚を 保護するため、体毛の多い人が多く肺虚の体質者が多いです。

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肺虚の人は、腠理の開閉が調整できずに閉じたままになりがちです。肺 の気(陽気)をうまく発散できないためか、愚痴が多くなりがちです。逆にすごく悲しい事があると肺に影響を与え肺虚になることもありますし、悲観的な物の考え方をするタイプのお年寄りは 肺虚になっていることがあります。
また、肺虚体質者は、汗をかくと陽気がうまく発散でき出来 気の巡りがよくなります。汗をかくと体調が良いと自覚している人も多いです。下痢をしても気持ちいいと感じます。よく、毛深い男性はセックスが強いといわれますが、汗や精液を出すことが性的快感以外に爽快感なども強いため、人一倍欲するのではないかと思われます。体質的に肺虚の人は、やはり、呼吸器系の疾患にかかり易いといえます。

腎と腎虚

腎は、精を蔵し志を舎す。また、腎は水を蔵し津液を主り、骨、耳、髪 を支配する、といわれています。

「腎」は、先天の精をしまってあるところとされ、先天の精とは生ま れながらに持っている生命力のことです。志とは、物事を集中して継続 していく力の事です。何をやっても長続きせずに、すぐ、飽きてしまう なんて言う人の中に腎虚体質の人が多いのではないかと思います。

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また 腎は、骨も支配しているので 骨粗鬆症や椎間板ヘルニア、頚椎の変形による肩こり等の人に「腎虚」の人が多いともいえます。さらに、骨髄まで熱せられ脳まで及ぶと、痴呆等になりやすいと考えられます。
腎は、髪も支配していると云われ、加齢とともに白髪になったり禿げてきたりするのも腎の力が衰えて(腎虚)きたからだと考えることができます。最近どうも気力がわかない、やる気が出ないと言う方などは腎の気が消耗しているせいかもしれませんね。  腎の志は、恐ですから腎虚になると おどおどしたり、行動が消極的なってしまうという意味です。また、何か恐い思いをした後に腎虚になってしまう人もいます。

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